第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「……」
しかし朝から一日中寝ていたせいか、暫く経っても眠りに入れなかった。
流石ローと言うべきか一日寝ただけであれだけ疲れていた身体も、ほぼほぼ回復していた。
そのせいかは分からないが、正直ユーリを抱きかかえてるとムラムラしてきて仕方なかった。
かといってお互い病み上がり、主にユーリは重症なので流石に良心が痛む。
しかしユーリに触れたのは3年前だ。寧ろ昨日襲わなかった自分を褒めてやりたいくらいである。
そしてそんなことを考えていると、空気を読んでるのか読んでないのかユーリも目を覚ました。
暫し見つめあう二人。
ユーリは寝ぼけた頭が次第に覚醒してくと、今の状態を理解しつつあった。
「……えっ、なんかめっちゃ見られてた?確かに私もさっきまで見てたけど」
相変わらずズレたことを言ってくるユーリだが、ローの心中は物凄く葛藤していたので頭に入ってこなかった。
そしてなんだか怖い表情で見てくるローに気づいたのか、ユーリもソワソワと落ち着かなくなってきた。
目の下の隈も酷いうえに、なんだか目も血走っている。
更には眉間にいつも以上に深いシワが刻まれれば、誰でも恐怖を抱くだろう。
「……おやすみ」
ユーリはもう以前の能力は使えないし逃げれそうもないので、全てをシャットダウンしてしれっと眠りに入ろうとした。
「……おい」
だがそれもローに妨害されたので、無理だった。
ユーリが目を開けると、もの凄く何かを考え込んでいるような表情をしているローが目に入った。
「……どうしたの?」
ユーリは何となく聞かない方がよさそうな雰囲気だったが、思わず聞いてしまった。
それを後悔するはめになると気づくのは、少し経った後である。