第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリが眠りに入り日付も変わろうとした頃、ローが目を覚ました。
喉の渇きに目が覚めてしまい、重い身体を起こして辺りを見渡した。
丁度近くのテーブルに誰かが用意したのか水が置いてあったので取り合えずそれを飲んでいると、視界の端に変なのが映った。
「………」
その変なのとは勿論ユーリである。
なんともイスの上で変なポーズをして眠っているようで、思わず凝視してしまった。
そして見つめること数秒、少し不憫に思ったのでユーリを抱きかかえるとベットに寝かせてやった。
風邪をひいているので本当は違う部屋に運ぶべきなのだろうが、疲れていて面倒だ。
というのは建前でユーリと一緒にいたいのが本音なのだろうが。
ローはユーリの顔に掛かった髪を払いその寝顔を見た。
先ほどまで寝苦しそうな表情だったが、今は穏やかな表情をしている。
こうやって普段から大人しくしていればいいのだが、それはそれでなんだか物足りないと思っている自分も大分毒されているだろう。
ローは声を殺して笑うと、ユーリを抱きかかえ眠りにつこうとした。