第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
「まじかよ、これ絶対寝れないパターンだ」
ユーリは卑しい雰囲気ではないが、なんとなく気恥ずかしくなり落ち着かなかった。
それに安定しない身体に寝付ける気配がしない。またいいポジションを探さないと。
「……お望みなら寝かせねェが」
ユーリがもぞもぞしていると、何時か交わしたような会話が繰り広げられた。
「あいたたたた!急に傷口がっ」
そして相変わらずなユーリの反応。
「……ふっ」
ローは声を殺して笑うと、そのまま深い眠りに落ちていった。
「……」
ユーリはローが笑ったのを見て、暫くぼーっとしていた。
そういえば夢の中では泣いていた気がする。
何時の間にか豊かになったローの表情を、ユーリは興味深く見ていた。
心なしか寝顔も穏やかだ。というかローの寝顔なんてあまり見たことがない気がする。
「……ありがとう」
ユーリはそっとローの頭を撫でた。
この世界に来て、ローと出会えて、今こうして一緒に居られて本当に幸せだった。