第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
「因みにその力は1人につき一回までしか使えない」
ユーリの食べた実、名前は忘れたがその力は強力であるがゆえに一回だけのものだった。
人、者、あらゆるものを再生するこの力は、対象としたものを一回だけしか再生できないのだ。
能力者本人は無制限だが、そのことを教えたら無限に怪我をしてきそうなので取り合えず黙っておいた。
「そうなんだ。まぁローという偉大なお医者さんがいるから大丈夫でしょ!」
そう堂々と発言してくるユーリの、ローに対する信頼は厚いようだった。
一体何が大丈夫なのか問いただしたい所だが、いい加減ローも体力的に限界がきていたので今日は諦めた。
取り合えず今は、ユーリが生きていることを実感したかった。
「……寝る」
ローはそう言うとそのまま目の前のベットに倒れ込み、ユーリも横に倒すと抱き込んだ。
「えっ、ここで寝るの?」
ユーリは予想通り慌てていたがローは完全にスルーしていた。
眠いのは本当なのだ。
なんたってここ1か月まともに寝た記憶がないから。
それにユーリの心音をちゃんと聞きたかった。
ローはユーリの胸に耳を当てると、聞こえてくる静かな心音に全身の力が抜ける気がした。
そして襲ってくる睡魔に誘われるよう瞳を閉じた。