第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
本当はユーリと会えばすぐに食べさせる予定だったが、色々ありすぎて今になってしまった。
気づけばユーリは血だらけで生きているかも分からない状態だったし、悪魔の実は船にあったのですぐには無理だった。
能力の内容からして瀕死の状態の時に食べさせるべきかと思ったが、意識のない人間相手に食べさせるのは難しいし、瀕死の状態で食べさせて逆に死んでもらっては困るので止めておいた。
悪魔の実はどうしても助からない時に食べさせようと思い、まずは治療を行ったのだ。
特に心臓は一番気がかりだったので、どうなるか分からない悪魔の実の力に頼りたくなかった。
「……何から何まで本当にありがとうございます」
ローの説明を興味深く聞いていたユーリは深く礼を述べたが、顔にはっきりとまずそうと書いてあった。
「……食え」
そんなユーリにイラっとすると、口に無理やり詰め込んでやった。
「ぐっ…!」
もがき苦しむユーリを気にすることなく押し込んでいくロー。
暫くそんなやり取りが続き、漸くユーリの腹に収まっていった。
「うぅ~まずい」
そして悶え苦しんでいるユーリの肌に少しだけ血の気が戻ってきた。
真っ白だった彼女の肌は、少しずつではあるが完全な回復へ向かっていた。