• テキストサイズ

時の恋人【ONE PIECE】

第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医







「……ごめんなさい。今回ばかりは、だいぶ心配を掛けてしまいました」

ユーリはローの頬に手を当てて優しく撫でた。

月明かりしかない夜の海ではローの表情が見えなかったが、なんとなく彼の思いは伝わってきた。

ユーリもローを抱きしめ返した。


「胸が暖かい。私に、命をもう一度与えてくれてありがとう」

ユーリは自分の胸に手を当てると、ローに感謝をした。
静かに脈打つそれは、もう二度と手に入れることができないと思っていたものだ。
ローがやったとは言われてないが、言われなくても彼以外考えられなかった。

ユーリの感謝を述べる言葉が、静かに辺りに響いて行った。

本当はローも伝えたいこと、話したいこと沢山あったのだが、もう言葉は出てこなかった。


「さぁ、帰ろうか。きっと目を覚ませば、また出会えるよ」


ユーリは笑った。そして名残惜しいが身体を離すと、改めてローと向き合った。

そして何時までも手を離そうとしないローにユーリは苦笑すると、ゆっくり引きよせ口付けた。

静かに交わる2人の姿は、徐々に消えていく。

遥か水平線の向こうにはいつの間にか日が昇ろうしており、少しだけ明るくなりつつあった。

キラキラと輝く海面のように、二人の姿もまたキラキラと光を浴びていた。

そしてユーリがローを安心させる為に笑顔を向けると、二人の姿は完全に消え去ったのだった。







/ 576ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp