第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
今度はユーリ一人だけではなく、ローも一緒だった。
お互い幼い姿なのは変わらなかったが、しっかりと握られた手は心強かった。
ーーーへぇ、次元が違う者同士、出会うこともあるんだ
するとどこからともなく声が聞こえてきた。
二人は辺りを見渡すが誰もおらず、目の前に大きな遺跡があるだけだった。
その遺跡には身に覚えがあり、二人は顔を見合わせて不審な表情を作っていた。
ーーーねぇねぇ、良いこと思いついたんだけど、この話乗ってみない?
そんな二人の手が繋がれているのを見ると、面白そうに声の主は話を進めた。
ーーーその女の子が大きくなったら、この世界に連れてきてあげる。
ーーーそしてこの世界を揺るがすほどの物語を私に見せてよ。
ーーーそろそろ私も退屈だったんだ。だから、もし私を満足させてくれるなら本来は一緒に存在することができない者同士だけど、奇跡を起こしてあげる。
ーーーえ?意味が分からないって?意味なんて今分からなくても良いんじゃない?その女の子と一緒にいたいでしょ?
ーーー素敵な物語が出来上がったら、私の命と引き換えにこの時代の終息とあなた達の未来を約束してあげる。
ーーーもちろん私が満足しなかったら、あなた達は無事では済まされないでしょうね。下手したら死ぬんじゃない?
ーーー因みに拒否権はないから。あなた達はもう私に選ばれたから、この賭けが終わるまで脱落はできないわよ。