第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ピーーーーーーーッ
「っ!?」
突然鳴り響く電子音にローは飛び起きた。
目の前のユーリを見てみれば、彼女の鼓動は再び止まっていた。
「くそっ!!」
ローは血の気の引いた表情でユーリの体内に手を入れた。
そして電気ショックや直接触れて治療を行ったが、一向に回復する気配はなかった。
「言いたいことも、伝えたいことも山ほどあるんだ……それを聞かずに、勝手に死ぬんじゃねェよ!」
悲痛な叫び声が部屋の中へと響いていく。
ローはありとあらゆる治療法を行った。
しかし時間ばかりが過ぎていき、ローの顔には絶望が浮かんでいた。
ーーーー才気あるものが使用すれば、永遠の命が与えられる
ふと、ローの頭にあの言葉が過った。
本当はそれを行えばユーリが助かることは分かっていた。
しかし、そんなことをすれば彼女が悲しむのも分かっていた。
「………」
鳴りやまない電子音を完全に遮断すると、ローはROOMを発動した。
静寂に包まれる中、ユーリを少しの間だけ見つめていた。
思えば、3年前からまともに会話をしていない気がする。
この一か月で何を伝えるかずっと考えていた。
……だけど…
ローは静かに瞳を閉じると、ユーリの心臓に手を伸ばした。