第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ユーリは父親に呼ばれたと少年が立ち去ってから暫くぼーっとしていると、急に眠気に襲われた。
そして倒れるように眠りにつき再び目を覚ますと、またあのゴミ山の中にいた。
ユーリは幸せな夢だったなとぼんやりそう思った。
ーーー不思議とあれほど空腹だった腹は満たされていた。
それからは空腹が限界を迎えると、何度かそんな幸せな夢を見た。
勝手にいなくなるユーリを少年は何度も怒っていたが、夢だから仕方ないと言えば変な顔をして怒るのを諦めたようだった。
そして何時ものように大量のパンと飲み物を持ってきてくれた。
更にはユーリの栄養失調を気にし始め、パン以外も持ってきてくれた。
少年はどこから来たのか両親はどうしているのか色々質問していたが、少女の答えはどれも変だった。
聞いたことのない地名や話に、こいつは頭がおかしくなってるのではと思い始めたくらいだ。
しかし少年は少女を見捨てなかった。
なんとなく、このボロボロな少女を助けたかったのだ。
少女も暗かった表情からだんだんと笑顔が増えていき、そんな少女に少年は惹かれていった。
だけど少女は少年が少しでも目を離すと、すぐにいなくなってしまう。
それがとても不可解だった。