第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「煩いわね、私にも色々事情があるのよ」
「その事情のせいで、何度私が死にたいと思うことになったと……」
「あなた、意外と繊細なのね」
「いやいや寧ろあの状況を乗り越えて、ここまで回復したのすごくね!?てかなんで能力の詳細を、最初私じゃなくてローに見せたんだ。プライバシーの侵害にも程がある」
「何言ってるのよ、あなた阿保そうだから一人で理解するより二人で理解したほうがいいと思って親切にしたのに。ほら、オペオペの実にも関係あるし」
「関係あるどころか思いっきり弱点だよね!?これがHUNTER×HUNTERの世界なら死活問題だから。手の内とハンデ見せるとか死活問題だから」
「あぁもう、煩い!せっかくあなたの役目ともう一つのハンデを教えてあげようとしたのに」
「まだハンデあるの!?どんだけ人生ハードモードなんだよ、強くてニューゲームじゃないのか?勘弁してくれよ」
ユーリは冗談じゃないとばかりに肩を落としたが、これ以上妖精の機嫌を悪くしても仕方ない。
ユーリは渋々と話を聞くことにした。
「あなたの右胸あたりに、模様のようなものがあるでしょ?能力を使い終わる度にその模様が少しずつ全身に広がって行くの」
「何それ気持ち悪い」
確かに着替えた時、太陽のような黒い刺青に気づいたが、それが全身に回るなんて冗談じゃない。
そのうちハート海賊団の刺青でもこっそり入れてもらおうかと思ってたのに、思いっきり被ってしまうじゃないか。
「そして、その模様が全身に回った時あなたは死ぬわ」
ユーリが肩を落としていると、あっさりされた死の宣告。
ユーリは特に驚かなかった。