第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
「おい!!ユーリはまだ生きてるんだろ!?さっさとこの場から離れて治療しろよ!おまえ医者なんだろ!?」
ユーリが目を覚ましたのを見ていたシュライヤは、ローに心臓を投げ渡すと唖然としてる彼にそう捲し立てた。
そして何時までも動こうとしないローに痺れを切らすと、二人を掴み風で天井に穴を開け舞い上がった。
「行かせないわよ!!」
シュライヤ達が舞い上がった瞬間、気を失ってると思っていたリデルが刀を構えているのが見えた。
シュライヤは舌打ちをすると、二人だけでも逃がすためにその場に留まろうとした。
「……な、なにこれ…?」
だがリデルが能力を発動することはなかった。
いや、できなかったというほうが正しいのだろうか。
手に持つ刀は砂のように崩れていき、消え去った。
そして、リデルの顔にひびが入るように亀裂が走ると、サラサラと身体が消えていった。
足、手へと徐々に消えていく己の身体を見ているリデルの表情は、恐怖に包まれていた。
そしてそう時間が経たない内に、彼女の身体は完全に消え去ったのだ。
それが何を意味するのか分からなかったが、ユーリから詳細を聞いていたシュライヤは嫌な予感がした。
そして自分で動けると言ったローに追いつき、先ほどの光景とユーリの話を口早に説明すると、彼の眉間には深いシワが刻まれていった。