第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ローは身体から流れ落ちる血を止めようともせず、下敷きにしてしまった女性を見るとゆっくり片手をついて起き上がった。
そしてローの下で横たわっている彼女の頬を静かに撫でた。完全に血の気を失っている彼女は、生きているか分からなかった。
心音を聞こうにも、彼女からは聞こえてこない。ローはただただ茫然と彼女の姿を見ていた。
そんな二人をシュライヤは離れた所から辛そうな表情で見ていた。
早くこの場を離れるにこしたことはないが、二人の間に割って入れる雰囲気ではなかった。
荒れ果てたこの会場で、あの2人がいる場所だけまるで別世界のように感じた。
白く美しい女性には皮肉なことに大量の血液は栄えて見える。
そして彼女を抱え込んでいるローもまた、血まみれだった。
そんな2人の姿は、まるで一枚の絵画のようで、近づくことができなかった。