第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
「その女、まさか…!?」
リデルは変わり果てたユーリの姿を見て、漸く気づいたようだった。
「ロー!その女から離れなさい!あなたの心臓は私が持っているのを忘れたの!?」
「…それはこいつのことか?」
「…なっ……!?」
取り乱すリデルの前に現れたのは、心臓を手に持つシュライヤだった。
昨夜から寝ずに頑張って探していたが、意外と手こずってしまった。
広すぎる宮殿のせいで場所を特定するのに時間がかかったせいもあるが、予想通りというか海楼石で厳重に管理されていた。
その為一般人を風で操って海楼石を外させるのに更に時間がかかってしまったのだ。
その後騒がしくなる内部に嫌な予感がして駆けつければ、最悪の事態が起こっていた。
シュライヤは姿を消してこの場からなんなく逃げれるが、あの2人はどうする?
そもそもユーリは生きているのか?
湧き上がる不安にシュライヤがどうするか迷っていると、突如リデルがホワイトホールで銃を取り出した。
「私のものにならないなら死んでしまいなさい!!!」
シュライヤが止めるまもなく再び響き渡った銃声。
それに呼応するかのように周りの海軍達も撃ち続けた。
ローは咄嗟に目の前の女性を庇うように覆いかぶさると、その身体に大量の銃弾が撃ち込まれていった。
「やめろ!!」
シュライヤは強風を起こして周りの人間全てを薙ぎ払った。
遥か遠くへ飛ばされた海軍達は身体を強く打ち付けると、その場に倒れた。
その中にはリデルの姿もあった。