第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ーーーーごめんな、何から何まで1人で抱え込ませてしまって
ーーーーほんとあんたって幾つ命があっても足りないわよね
鳴り響く銃声の中、二人の声が聞こえた気がした。
心配する声と呆れた声。どこか懐かしいその声に、ユーリは暖かいものが身体に流れる感覚がした。
ーーーー能力をあげるから、死なないでくれ(死ぬんじゃないわよ)
重なる2人の声。
ユーリはあれほど悪かった体調が回復し、身体が軽くなったような気がした。
「……っ」
そしてユーリから音が消え、気配が消え、姿も消えたのだった。