第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
シャチ達はユーリと別れた後、何もせずに待つのも落ち着かないので再び情報収集をしていたのだ。
そして偶々知り合った世界を渡り歩きながら装飾品を作っている人から、先程の話を聞いた。
職人の間では密かに話題になっているようで、さり気に詳細を探った。
そうしたら以外にも簡単に答えてくれて、次世代の海楼石と言われるものが最近完成したらしい。
一度身につければ能力者はもちろん、一般人ですら外すことはできない。
更には着けた本人を従わせる仕掛けが施されているときたものだ。
シャチはそれを聞いてすぐにユーリに伝えたかったが、中々連絡が来なかったのでどうしようもなかった。
そして話を聞いていたユーリの表情は次第に青ざめていった。
最早奴隷と何が違うのか。
相手の意思を完全に無視をして、手に入れて、それで一体誰が幸せになるというのか。
「教えてくれてありがとうございます。後は私に任せてください」
ユーリは口早にそう伝えると、まだ何か言いたげな電伝虫を一方的に切った。
早く戻らないとローに指輪をつけられてしまう。
ユーリは受付の人に電伝虫を返すと、急いで会場へ戻っていったのだ。