第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ユーリは受付の人に電伝虫を借りると、人のいない場所を探して街で待機しているシャチに連絡を取った。
「ユーリさん!?まったく連絡が来ないから心配しましたよ!!」
ワンコールで出たシャチから心配する声が上がった。
何かあれば連絡すると言ったきり一度も連絡してなかったのから、余程心配していたのだろう。
慌てたように色々聞いてくるシャチにユーリは苦笑すると、これからのことを話した。
「すみません、ちょっとバタバタしてて連絡を取る余裕がなかったんです。それより一度船に戻ってもらえないですか?」
「え?ユーリさんはどうするんですか?」
「私はこちらで知り合いと再会したので、恐らく彼と一緒にこれから行動すると思います。シャチさん達とすれ違いになったら悪いので船で待っててほしいんです」
「…うーん、そういう事なら分かりましたが、絶対無理はしないでくださいね!」
一瞬渋っていたシャチだが、ユーリが嘘を言っているとも思えなかったので大人しく戻ることにした。
詳しく話を聞くと、あの狂風のシュライヤと一緒にいるらしい。
それなら一緒に来た3人と行動するより、彼と行動した方が安全性も高まる。
非常に悔しいが、事実なのでそうするしかなかった。
「あ!そうそう聞いてください!ずっと伝えたかったことがあるんです!!」
ユーリの話がひと段落すると、シャチが慌てたように口を開いた。
「いいですか、あのリデルという女、ローの指輪に海楼石よりも強力なものを仕掛けてるらしいです!」
聞かされた言葉にユーリは目を見張った。