第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ユーリはシュライヤを見送ると、再び庭に戻った。
シュライヤには何から何までお世話になっているので、本当に頭が上がらなかった。
だからいつか、恩返しができればと思っていた。
(……はぁ)
ユーリが戻ると遥か前方にある王宮の2階のテラスで、ローとリデルが楽しそうかまでは分からないがに食事をしているのが見えた。
まだ、ローの記憶が戻る方法が分からない。
でも例え戻らなかったとしてもユーリの命に限りがある以上、何もせず泣き寝入りするのは嫌だった。
もちろんこのままだとローも死んでしまう。
どう考えても暗い未来しか見えなかったが、ユーリは気持ちを切り替えるように軽く頬を叩くと、人が減り始めた会場の後片付けに向かった。
せめて、ローだけでもこの島から逃がしたい
ユーリは震えてる身体を叱責するように力を入れると、黙々と作業を行ったのだった。