第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
シュライヤは絡まれている白髪の女性が不憫に思ったので助けたが、特に深い意味はなかった。
なんとなく彼女の声が、昔好きだった女に似ていたので助けた。ただの気まぐれだった。
そして再び食事を再開したが、どうも彼女が気になって落ち着かなかった。
だからもう一度話してみようと思ったのだ。
それから彼女と初めてしっかり向き合うと、懐かしい風の流れを感じた。
それは忘れるはずもない、昔シュライヤが思いを寄せていた…ユーリのものだった。
狂風のシュライヤ
カゼカゼの実を食べた悪魔の実の能力者だ。
風を自在に操れる他に、自分自身も風となり姿を消すことができる。
また人間の周りには、それぞれその人独自の風が流れているのも知っている。
そんな彼がユーリに気づくのはそう難しいことではなかった。
今回偶々タダで飯が食えるという話を聞きつけたが、政府関係者の島だったので諦めていたところ、シュライヤの知り合いに政府関係者がいたおかげで、どさくさに紛れて会場に忍び込むことができたのだ。