第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
王宮の中の広大な庭を使って行われる前夜祭は、島中の人々が集まっていた。
なんでも今回の結婚式は島全体を挙げて祝うようで、まだ前夜祭なのに集まった人数はかなり多かった。
雨でも降ってくれればよかったのに、あいにく微妙な天気を保ち続けていた。
最近の天候の悪さが一番発揮して欲しい日に発揮しないとは、なんて役立たずなんだ。
また前夜祭の為に用意された高級料理や酒も全て自由に食べ飲みすることができた。
さすが島一番の権力者なだけあって、やることも派手だった。
リデルは少しでも派手にすることによって、ローは自分のものだと知らしめたかったのだ。
ローの人気はリデルの耳にも嫌でも入ってくる。
極力ローから離れないようにしているが、リデルとて仕事があるのでそうはいかない。
案の定目を離せば、ローの周りに女がいることなんて頻繁にあった。
その度に彼女たちを島からの追放やその他の方法で蹴散らしていたが、まったく収まる気配がない。
そんなローが自分のものになるという事実は誇らしいが、それと同時に醜い嫉妬に疲れつつあった。
また彼はずっと上の空でリデルを見ているようで見ていない。
そんな毎日にリデルの疲れと苛立ちは限界に達しようとしていた。