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時の恋人【ONE PIECE】

第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医





「……」

そんなユーリの後ろ姿を、ローは暫く眺めていた。

リデルはそんなローに眉を顰めると、早く部屋に戻りましょうと手を引いた。

ここ最近、いやローが目覚めてから彼は上の空なことが多かった。

リデルに囁く愛の言葉は嘘ではなさそうだが、どれも気持ちの籠っていない薄っぺらいものに感じてしまう。
これならまだ、ローがリデルを騙していた時のほうが遥かに情熱的だった。

しかしそれも、背後には全て、あのユーリへの思いからくるものなのも知っている。

ユーリへの思いは全て書き換えたはずなのに、ユーリは死んだはずなのに、何時までその影に怯えないといけないのか。

リデルは結婚式の予定を早めなければと思い、今後の計画を変更することにした。
本当はもう少し時間を掛けて式の準備をしたかったが、リデルの心を少しでも落ち着かせるため諦めることにした。

例えローの心が完全にリデルのものでなくても、外堀さえ埋めてしまえば後はゆっくり気持ちを向かせればいい。

背後に世界政府のいる彼女と一度結ばれれば、そう簡単に縁を切ることはできない。
もし裏切るようなことがあれば、彼女の手元にはローの心臓がある。
それを使って大人しくさせてもいいし、一緒に心中してもいい。


リデルは不安を払拭するように笑うと、ゆっくりとローの手を引いて行ったのだった。











そして次の日、結婚式の日程を急遽早めることになったと王宮中に通達が回った。

その日程は、なんと3日後であった。




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