第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
そして2日後、ユーリ達はリデルが住んでいると思われる大きな島にたどり着いた。
観光地として有名なその島は非常に栄えており、たくさんの人で賑わっていた。
それと同時に海軍の数も多く、このまま正面突破するのはかなり危険だった。
リデルと交流していたころでさえ、この島には近づいたことがなく、想像以上の警戒態勢にクルー達は頭を悩ませた。
そして暫く悩み続けて出した結論が、少人数で小舟を使い近づくことだった。
島には商業用の船も多く出入りしており、小舟なら死角からなんとか島に侵入できそうだったのだ。
そして我こそはと手を挙げたメンバーは多数いたが、その中で選ばれたのが、ペボ・シャチ・ペンギン・ユーリだった。
今まで一番ローの近くにいた3人は、決して譲らなかった。
また体調の悪そうなユーリを連れていくのは気が引けたが、彼女を引き留めることはできなかった。
「本当に4人で大丈夫かよ」
小舟に乗り込む彼らを残る組になったクルー達は心配した。
しかし本当に小舟な為、乗れる人数も4~5人が限界だったのだ。その中の1人がペボならこれ以上乗れないもの無理はない。
「おれらの心配するよりおまえらもしっかり船を守れよ!この船がなくなったらそれこそ逃げ道がなくなるんだからな!」
そんなペンギンの声にクルー達も当たり前だと答えた。
そして彼らを乗せた小舟はゆっくりと島に向けて出港したのだった。