第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ユーリが船を探して走り回っていると、前方にハートの海賊団の船が見えた。
ローは仲間と一緒にこの島に来ていたが、次元の扉を開いた後、この場に留まるよう命じていたのだ。
クルー達はそんな船長の言葉に渋っていたが、決してローは譲らなかった。
この先に何があるか分からない以上、今まで世話になった彼らを連れていきたくなかったのだ。
「……ん?なんだあいつ?」
そして猛ダッシュで近づいてくるユーリを見つけるや否や、何時かのように船内はざわついた。
雪のような美しい白さを持つ彼女は、良い意味でも悪い意味でも目立った。
まさか亡霊じゃないだろうかと騒ぎ立てるクルーにユーリは彼らの前に立つと、慌てたようにこれまでの出来事を説明した。
しかし当然というかすっかり変わり果てたユーリの言葉をまったく信じない彼らに、ユーリは2年前の宴の話をした。
それはユーリしか知りえない情報であり、その他にもローとの話をすることによって、時間はかかったが彼らに信じてもらえることができた。