• テキストサイズ

時の恋人【ONE PIECE】

第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医






ユーリは鎖で身体を拘束され地面に転がされた。

必死でリデルを説得する言葉も、彼女に届くことはなかった。
そしてあまりにも煩いものだから、布のようなもので口も封じられた。

リデルは気を失ったローを従者達に運ばせると、ユーリの前に立った。


「彼の心配はしなくていいわ。私が幸せにしてあげるから」

何か言っているユーリだが、その言葉は発せられることはなかった。

確かにローの幸せを望んだが、こんな結末は望んでいない。
ローが本気で愛するなら構わないが、無理やり記憶を書き換えられてローの気持ちはどうなるのだ。


ユーリは悔しさで涙を流した。


「その被害者面、吐き気がするわ」

リデルはそう吐き捨てるように呟くと、ホワイトホールで炎を呼び出した。
前にブラックホールで火を消したことがあったのだろうか。


彼女の放った火はたちまち枯れた草原を焼き尽くし、火の海となった。
拘束されたユーリは起き上がることもできず、ただ目の前のリデルを睨みつけた。

そんなユーリをリデルは鼻で笑うと、その場を去っていった。


目の前の扉は再び固く閉じられようとしている。

扉の向こうには気を失っているローの姿が見え、ユーリは何度も彼を呼んだ。


しかし無情にも目の前の扉は閉められてしまい、取り残されたのはユーリただ1人だった。


「----っ!!!!」


ユーリは火に包まれた炎獄の中心で、言葉にならない悲鳴を上げた。

激しく燃え盛る炎は、彼女に容赦なく襲いかかったのだ。






/ 576ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp