第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
しかし遂には我慢の限界が来てしまい、ローは彼女を信じさせるために自分の心臓を渡すことにした。
世界政府相手にこんな危険な賭けを持ち込みたくなかったが、今もユーリが1人でいると思うと、これ以上無駄な時間を取られるのが我慢出来なかったのだ。
心臓は頃合いを見て奪い返すつもりだった。
そしてそこからは彼女の心変わりも早かった。
警戒心が強かっただけに、一度落ちてしまえば実に簡単なものだった。
すっかりローの言葉を信じ、ベタ惚れとなった彼女は全て思惑通りだった。
ローは笑顔を顔に張り付けて、彼女を生贄の祭壇へ招いたのだ。
護衛の為に世界政府関係者も付いてくると言ったが、彼女さえ一緒に来てくれればどうでもよかった。