第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
それからのローの行動は早かった。
今まで吐いたことのないような愛の言葉を並べ、嘘を並べ、彼女を口説き落としにかかった。
これまで女から近づいてくることがほとんどだったので、ロー自ら行動に起こすのは慣れないこともあり非常にストレスだった。
しかし全てはユーリの為だと思い我慢した。
自慢じゃないがローは女性を簡単に落とせる自信はあったので、早々に終わらせるつもりだった。
だがここで2つの誤算が起きた。
1つはその女が世界政府の関係者であり、接触が非常に困難なことだった。
海賊であるローの立場は非常に不利であり、顔も名前も知れてるので素性を隠して接触するのは不可能だった。
だから考えに考え抜いてなんとか危険を犯しながら彼女と接触を図り、連絡を取り合える仲になるまでに非常に時間がかかってしまった。
取り合えず何でもいいので彼女と繋がりができたローは安堵したが、本当に大変なのはここからだった。
誤算の2つめは、彼女はかなり賢く警戒心が強く、そう簡単にローを信用しようとしなかったことだ。
その事実は余計にローを焦らせイラつかせ、何度も化けの皮が剥がれそうになったがなんとか耐えていた。