第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ローはあれから死に物狂いで次のトキトキの能力者を探した。
最初は1人で探そうとしていたが、今までついてきてくれたクルー達を放置して、一人放浪するのもどうかと思い彼らに選択を委ねた。
まずは今まで起きてきたことを全て話して、船を降りるか付いてくるか自由に決めさせることにした。
こんな自分勝手な船長に付いてくる必要はないし、一生遊んで暮らせるだけの宝を手に入れた以上、ローに付き合うこともない。
しかし皆の答えは、満場一致で船長に付いてくるというものだった。
ローは予想していなかっただけに、驚きを隠せず何度も確認してしまった。
だが返ってくる答えは変わらず、寧ろ何時の間にそんな青春を送っていたんですかと冷やかされる始末だ。
クルー達は漸く春が来た船長に安堵するとともに、応援する気満々だった。
流石にローも彼らを睨みつけてしまったが、そんな彼らに感謝をした。
それから皆で情報を集めて必死に探していたが、所詮少人数の海賊団なのでかなり苦労した。
この広大な海の中で、たった1人を見つけるのは不可能に近い。
偽の情報に躍らせては無駄足を踏むことを繰り返していた。
だから何十年掛かってでも探し続けると思っていただけに、1年で能力者と出会えたのは最早奇跡だった。
またトキトキの能力者は女とも限らない。
もし男であれば早々に殺害してやろうと物騒なことを考えていただけに、女と分かった瞬間手間が省けたと思い安堵した。