第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ユーリは目の前の扉を凝視していた。
たった2年でここへ辿り着いた者がいることも信じられないが、それよりも信じられないのが…
「……どうして…」
涙なんて随分前に枯れたと思っていたのに、気づけば頬が濡れていた。
扉の向こうには忘れるはずもない、会いたくても二度と会えないと思っていた……ローの姿があったのだ。
ローの周りには知らない人達がいて宝の山に興奮したように話していたが、まるで音が消え辺りが静まりかえったような感覚に陥った。
ユーリはただその場に立ち尽くしたのだった。