第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
あれから2年の月日が経った
ユーリは何日も泣いて過ごしていたが、ある日を境に泣くことはなくなった。
途方もなく過ぎていく時間に気がおかしくなると思っていたが、たまに会いに来てくれる妖精のおかげで、なんとか正気を保ち続けることができた。
一人で過ごすと思っていたユーリは、毎度ながらいきなり現れた妖精に思わず泣いてしまった。
妖精は外の世界のことを色々と話してくれた。
その話の中にローの話はなかった。
聞きたいような聞きたくないような気持だったので、ユーリから尋ねることはしなかった。
他の女性と一緒にいる彼の話を聞くのは、やはり堪えるものがあったのだ。
またユーリは数日間眠り続けることもあり、起きている時間の方が少なかった。
その状態は、1人が苦手なユーリにとってはありがたかった。
たまに夢の中で新しいトキトキの能力者に刀を渡すが、未だに誰もここまでたどり着いたものはいない。
まだ2年しか経ってないので、それは仕方ないだろう。
それに、辿り着いたところで悲惨な運命しか待っていないから、どうしたものかとユーリは複雑な心境だった。
このまま誰も来なければいいとも思うが、それで世界が崩壊するかもしれないと思うと、何が正しいのか分からなくなったのだ。
因みに珀鉛病の進行は止まっていた。やはりこの場にいる限り死ぬことができないのだ。