第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ローは納得しない表情で扉へ向かっていたが、ユーリがいないことに気づいた。
周囲を見渡せば、樹の近くで先ほどの女と何かを話している姿が目に映った。
「おい、何をしている、早く行くぞ」
ローはこんな気味の悪い場所早く出ていきたかったが、なんとなくユーリを置いて行ったら駄目なような気がした。
だから思わず声をかけてしまった。
そんなローの呼びかけにユーリは振り返ると、慌ててローの元へ駆け寄った。
そして徐にローに右手を差し出すと、にっこり笑った。
「取り合えず無事に財宝を手に入れたことを記念して、私と握手しない?」
「……意味が分からん」
ローは眉をひそめて渋ったが、ユーリは諦めなかった。
「だってすごいじゃない。本当にワンピースにたどり着くなんて、私たち2人の能力の賜物なんだから、少しくらい喜びを分かち合ってもいいでしょ?」
唐突なユーリの提案に、ローはまだ納得できない表情だった。
だが、ユーリが何時までも右手を差し出し続けるので、渋々ローが折れた。