第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
「ようこそ、世界の果てへ」
皆が宝を持ち帰ろうとしてると、いつの間に現れたのか巨大な樹の根元に1人の女性が立っていた。
「今回権利を得る者は、オペオペの能力も持っているのですね。さぁ、こちらへどうぞ」
こちらへ手を差し伸べてくる女性にローは警戒を露わにした。
こんな場所に人がいること自体おかしいので、警戒しても不思議ではない。
ローは鬼哭を構えると目の前の女性を睨みつけた。
「ふふっ、警戒するのも仕方ないけど、あんまり焦らさないで欲しいわ」
彼女は笑っていたが目は笑っていなかった。
ローはそんな彼女に警戒心を更に強めるが、ふとローの身体が浮いた。
「ロー!?」
そんなローを心配するシェリー。
ユーリはそのやり取りを、離れた場所で見守っていた。
「ん~、そうね。合格だわ。」
そして瞳を閉じ何か探るように首を傾げていた先代のトキトキの能力者は、満足したのかローを地面に下ろした。
そんなローに抱きつき身を案じるシェリー。
ローはそんな彼女を引きはがすと、何のことだと女に問い詰めた。
「これでやっと解放される。あの人の元へ行ける」
しかし彼女は訳の分からない言葉を吐き出すだけで、ローの質問には答えなかった。
何やら呟いている彼女の姿は一見普通に見えたが、どこか狂ってるようにも見えた。
そして財宝は好きなだけ持って行っていいけど、一度ここから出たらもう二度と入れないから、持てるだけ持ったがいいわよとアドバイスをした。
何となく、早くこの場から出て行って欲しいようだった。
ローはわけが分からないと再度女を問い詰めたが、彼女は不気味な笑みを浮かべるだけで答えてくれなかった。
そしてそんなやりとりをしている内に財宝を集め終わったのか、クルー達が扉の近くで待っていた。
シェリーも怖いから早くここから出たかったので、ローの手を引っ張り扉へ向かった。