第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ユーリが能力を使うと心臓は赤く燃え、消えていった。
そして遺跡へと通じる大きな扉が、ゆっくり音を立てながら開かれる。
そこから、眩しいほどの光が漏れた。
最初はその光の眩しさにクルー達は目を手で覆っていたが、次第に慣れてくると目の前に広がる宝の山に興奮した様子だった。
ローはユーリの心臓を気に掛けたが、別に平気だしそういうものだと適当にはぐらかされた。
まだ何か言いたげなローだったが、ユーリがクルー達と宝の山へ向かっていったのでそれ以上聞くことはできなかった。
扉を超えると遺跡の中だというのに、美しい草原が広がっていた。
草原には一本の巨大な樹が天を貫いていており、天井は石で出来ているのではなく、本物の青空のような空間が広がっていた。
なんとも幻想的な空間に一同は騒然としたが、すぐに注目は宝の山に移っていった。
その草原の至る所に積み上げられている宝の山を見て、クルー達はテンションが上がりっぱなしだった。
とても皆で持ち帰きれる量ではなかったので、どうしようかと興奮気味に相談していた。