第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「トキトキの実だと?」
ユーリの言葉を聞いていたローの雰囲気が変り、眉間に寄せていたシワが増えた気がした。
ユーリは恐る恐るトキトキの実について聞いたが、昔古い本で見たことがあるとしか教えてもらえなかった。
「おまえは何処から来たんだ?シーザーとの関わりは?」
「私の出身は……イーストブルーのはずれにある小さな島です。シーザーとの面識はありません」
ユーリは出身については適当に答えたが、それ以外は正直に話していった。
と言っても色々端折ってる部分もあるが。
「………トキトキの能力者と分かって誘拐して、何かしようとしたのか……」
ローは顎に手を当てて、暫く一人で考え込んでいた。
嘘はほとんどついてないが、勝手に勘違いしてくれたのは都合がよかった。
そしてユーリはここぞとばかりにローの姿を目に焼き付けておこうと、ガン見していた。
ローが眉間にしわを寄せてユーリを見ている間は、怖くて直視出来ないのでチャンスは今しかないのだ。
「トキトキの能力について、何処まで知ってる?」
そして数分後、再びローが視線を戻して来たので、ユーリは慌てて視線を逸らし妖精から見せてもらった紙の内容を思い出した。