第1章 前編 時の彼女と死の外科医
(能力っていってもなぁ、あれから妖精見てないし、寧ろ教えてほしいくらいだ。
あんな紙に書いてるくらいならそのまま私に渡してくれればいいものを。
あーそういえばあんな感じの紙だったな…………って)
ガサッ
「ぶっ!」
ユーリはどう答えようか迷ってると、目の前にヒラヒラと一枚の紙が落ちて来た。
それをぼんやりと眺めていると、急に風が吹いてきて顔面に紙が直撃してきたのだ。
そして視界の端にトキトキの能力の使い方と見えて、慌ててその紙を取ろうとしたが、再び風が吹いてローの方へ飛んで行ってしまった。
ローは咄嗟に紙を掴んだが、そのまま捨てようとして手を離そうとした。
ふとその時、ユーリと同じものが見えたのか紙を広げて中身を読んだ。
「あっ!?すいませんそれ私ので……」
ユーリ慌てて立ち上がり、ローから紙を取り返そうと手を伸ばした。
しかし片手で簡単に抑え込まれてしまい、取り返すことは叶わなかった。
咄嗟にタイムを発動しようとしたが、あの痛みを思い出したので渋々と読む順番を待つことにした。