第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
「…また内緒話か?」
「……えっ?」
突然響き渡った声にユーリは驚いて振り返ると、そこにはローが立っていた。
妖精はいつの間にか消えていた。
ユーリは話を聞かれたのかと焦ったが、何を話していたのかと問われたのでほっと胸をなでおろした。
問われたところで答えれないが、バレれば全てが終るのでユーリは適当にはぐらかしその場を離れることにした。
「最近疲れのせいか独り言が多いんですよ。だからそっとしておいてください」
「それでおれが納得するとでも思ってるのか?」
「納得するも何も事実だから仕方ないですよ。それより恋人をほっといて夜の散歩ですか?深夜徘徊するにはまだ年齢的にも早いですよ?」
ユーリのおどけたような言葉にローの表情は険しくなった。
確かに恋人と間違われてもおかしくないやり取りを見せたが、ユーリの言葉からそれを肯定するセリフを聞きたくなかった。