第1章 前編 時の彼女と死の外科医
溯ること少し前
シュライヤは偶々この街に来ており、先ほどの火事の現場となったホテルに滞在していた。
火事が起きた時間帯は外出していたので無事だったが、中にホテルの亭主の子供がいると聞き助けに向かったのだ。
このホテルの人には何かとお世話になったので、その恩返しのつもりだった。
しかし思ってた以上に火の勢いが強く、子供を見つけたのはいいが立ち往生していた。
そんなときふと窓からユーリが能力を使っているのが見えたのだ。
そして消えた建物に唖然としていたが、子供を亭主に預けるとお礼を伝えるべく追いかけてきたのだ。
「さっきは助かったぜ。あんた悪魔の実の能力者か?」
流れるピンク色の髪型は映画でみたときと変わらなかったが、背格好は少し違っていた。
話を聞くとある海賊船の船長をしており、彼もまた悪魔の実の能力者であるそうだ。
ユーリはあの映画の後も当たり前だがシュライヤの人生が進んでいることに、なんとなく不思議な気持ちで聞いていた。
海賊処刑人として活躍していた彼が、まさか海賊の船長になるとは。
ルフィのおかげで復讐も果たせたので、この広大な海へ旅立とうと思ったのか。
復讐のなくなった彼の表情は、本当に毎日が楽しいのか、穏やかなものだった。
そして何かお礼というシュライヤの申し出を断ることもできず、取り合えず近くのカフェに入ることになった。