第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「なんかめっちゃ指差されてたけど、なんだったんだろう。…っは!もしかしてやーい露出魔とか悪口言われてたパターン!?だめだやっぱり死のう」
ユーリは皆んなの話し声がよく聞こえなかった為か、勝手に落ち込んでいた。
「おーい!大丈夫か!」
「うわっ!?」
ユーリが落ち込んでるといきなり目の間にルフィが飛んできて、思わず仰け反り尻餅をついてしまった。
「ししし!悪りぃ悪りぃ!俺ルフィって言うんだ!お前の名前は?」
ルフィはトロッコの上に着地するとユーリに手を差し伸べて起こした。
「私…私はユーリです」
ユーリはそういえばここに来て初めて名乗ったと、しみじみと思っていた。
初めて名乗ったのがルフィなのは、なんとなく嬉しかった。
「ユーリか!よろしくな!それで服のことなんだけど、ナミの荷物はここにはないから外に出るまで待ってて貰えねーかな?」
「全然大丈夫です!寧ろご迷惑をおかけしてすみません」
ユーリは深々と頭を下げると、ふとローは寒くないのだろうかと心配になった。
だがしかし再び露出魔になる勇気はなかったので、ここを出たら何かお礼をすることにした。
(いや、よく考えたら薄着の人多いから意外と寒くないんじゃ?)
ユーリは彼らを見て、その考えが頭を過った。
「気にすることねーよ!困ってたらお互いさまだろ?」
ルフィの言葉にユーリは顔を上げると、そこには眩しいほどの笑顔があった。
(あぁ、その笑顔がローを救うんですね。分かります。ならば私はその笑顔を守ろうじゃないか)
そしてユーリはユーリでまた別の笑みを浮かべながら、全く違うことを考えていたのであった。