第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「おートラ男!早かったなぁ!シーザーの奴は俺がぶっ飛ばしといてやったぞ!」
それから程なくして、ローはルフィ達と合流した。
時間的に本編よりも早く到着したみたいだが、シーザーが吹っ飛んで行った事実は変わらなかったようだ。
そんなルフィに約束が違うと詰め寄るロー。
そしてそんな二人をトロッコの上から眺めているユーリ。
(はぁ、ここに来て死にたいとしか思ってなかったけど、漸く生きてて良かったと思えた!)
ユーリはやっと生きる気力が湧いて来たのか、笑顔で二人の様子を見ていた。
「ッチ、とりあえずシーザーを追いかけるが、その前におまえのクルーに女がいただろ。あいつに服を貸してやれ」
「ん?なんだ?」
ルフィはローが指差した方向を見ると、トロッコに乗っていたユーリと目があった。
「どうしたんだあいつ?怪我でもしたのか?」
「違う、服がないだけだ」
「なんで?」
「しらねェよ、あいつに聞け」
と、そんなやり取りをしてると何処からともなく凄い足音が聞こえて来た。
「レディの服がないだと!?どういうことだ!?」
「……地獄耳かよ」
凄い勢いで現れたサンジはローに掴みかかり睨みつけた。
「こんな極寒の中で女性を裸で放置とか、とんだ鬼畜野郎じゃねーか!」
「誰が鬼畜野郎だ!ちゃんとコート貸してやってるだろうが!」
ローはサンジを振り払うと、よく見ろとばかりにユーリを指差した。
サンジは態勢を立て直し指の差す方を見上げると、確かにコートを着てる女性がこちらの様子を伺っていた。
「裸にコート、だと!?なんて羨ましいことを!!よし俺が全身の服を貸し」
ドゴッ
「いい加減にしなさい!!」
コートを着てるのを確認して、安心するどころかヒートアップしたサンジ。
それを冷めた目で見ていたローだったが、何処からともなくナミが現れた。
そしてサンジが上着に手をかけたところでナミの鉄槌が落ち、騒ぎは漸く治ったのだった。