第1章 前編 時の彼女と死の外科医
(もうだめだ私の人生終わった。何が最強の力だ、最強なら時間を戻してくれよ。なんで痛いほど視線があったのかようやく理解したよ。そりゃ、いきなり目の前に露出魔が現れて色々やらかしてたら見ない方がおかしいよね。今日から私のあだ名は露出魔だ、ははっ)
服を着てない事実に気づかなかった己のボケ具合に、引きつった笑みしか出てこないユーリは、再度痛みが発生するがワープを使い逃げようとした。
そしてそのまま彼らとは関わらずに生きていこうと決めた時、ふと何かが上から降ってきた。
視界が暗くなると同時に微かに薬品の匂いがした。
「…色々聞きたいことがあるが、見てるこっちが寒い。とりあえずそれを着てあっちに行ってろ」
ローは心臓を戻すとROOMを発動し、シャンブルズでユーリを離れた場所に移動させた。
ユーリは軽く尻餅をつくと頭から被っていたコートを下げて、2人の様子を伺った。
本来ならローから貸してもらったコートに歓喜するべきだが、最早そんな気力は残っていなかった。
因みにユーリが能力を解除してからここまでは約30秒の出来事である。