第17章 コンクリートを漂流
地上に足をつけた私は、さっき上から見つけた目印を辿ってさっき見つけた道を進み始めた。
今度は駆け足。
というか、全力疾走。
後ろから先生が起こす地響きが追いかけてくるように感じて。若しかしたら、上にいたのが見つかって追いかけられているのかも。
そりゃもう、死に物狂いだ。
どれだけ角を曲がったか、どれだけのガラクタの山を乗り越えたか分からない。
10分くらい走ってたのかも、もしかしたら1分も走ってないのかもしれない。
私は、校長先生の絵が描かれたゲートの前に立っていた。
「はぁっ…はぁっ……。つ、ついた……の?」
このゲートを潜れば私は合格なの?
みんなと一緒に林間合宿に行けるんだ…。
みんなと、一緒に……?
その時、今まで消えていたあのもやもやが顔を出した。
もやもやが、声を上げる。
『ねぇ、本当に______?』
「っ……。」
あと一歩でゴール。
そんな時に、私はフッと足を止めた。
そっか、このもやもやは……。
さっきまで大切に抱いていた左手をだらんとおろす。
そっか、私は。
空を見上げる。思ったより、空は青かった。ふっと風が吹いてくる。初夏の、爽やかな風。それが凄く、気持ち良かった。
そして、耳にあのブザーが届く。