【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第6章 ENVY
ふと目をやると、部屋の端の方で死体の様に横たわる秀吉さん。
うんうん唸っている様にも聞こえる…そう言えば元の世ではよく絡み酒って言われたな、なんて後暗い記憶もある。
「の、信長様!申し訳ありません!」
身体にいつの間にか掛かっていたふっかふかの布団を、あたふたと畳みながら青ざめる。
信長様は一層楽しげに、小さな笑い声を上げた。
「良い、友とは酒の席の始末もしてやるものよ。
それより早くこちらに参れ、朝餉を用意させた」
匂いの正体はこれだったのか、と立ち上る湯気に誘われ膳の前に着く。
漂うお出汁と味噌の香り、二日酔いにはやっぱこれだよね、と早速口をつけ、啜る。
「ぷはーっ…なんかこう、生き返ります!」
「呑みすぎだろう、貴様の酒癖の悪さと言ったら敵わん。
金輪際、俺の部屋では呑むなよ」
「えぇ…信長様も楽しそうにしてらしたのに?」
「…千花も、言うようになったものだな」
顔を見合わせて、笑い合う。
何も無かったかのように、大人な対応をしてくれる信長様。
私の気持ちを気遣っての事で、有難くて仕方がない。
何故お相手が居ないのだろう、なんて下世話なことを考える――
もっと仲良くなったら、教えてくれるだろうか?
それを考えるだけで、心がじんわりと温かくなる。