【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第9章 J'adore
顔を見合わせ、くすくすと笑う。
つい先程までの緊迫した雰囲気が嘘のようで、きっとこれからも、辛いことや苦しいことをこうして笑い合って乗り越えて行くのだろう。
物がない分、心映え一つで何もかもが変わるこの世で、きっとこれ以上心強いことなんて無い。
ゆるゆると馬の背に揺られ、後ろから包み込んでくれる体温に酔いしれるように、身を預けながら。
夜の静寂の中に溶けてしまいそうな、家康にだけ聞こえる程の小さな声で呟く。
「お正月、一緒に初詣に行ってくれる?」
「そうだね」
「また、あのお花畑に連れてって欲しいな」
「うん、勿論」
「…宴のあとでいいから、気持ちを告げる時間を貰える?」
私の問いかけに、一層潜められた家康の声が耳元で響いて。
また、この心を熱くさせる──
「どうぞ、千花のお気に召すまま」