【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第6章 ENVY
ふわりと漂ってくる良い匂いに目を開けようとして、でもまだふわふわとした微睡みに甘えていたくて、夢と現を彷徨う様な感覚。
この時代では、音や光が少ない分、香りが与える影響が強いのかも知れない、なんてずっと考えている。
自室で香を炊いたり、玄関口に香りの強い花を活けてみたり、自分の気分や周りの様子に合わせて香りを操る事にも慣れてきた。
でもやっぱり、彼に貰った伽羅の香りは特別だ。
自分の袖口からほぼ四六時中香る、それはもう私の一部のように、かけがえの無い物になっている――あれ、でもこの匂いは違うな…?
恋慕と言うよりは、食欲を唆るような、
「貴様の間抜け面を見ているのも一興だが…
もう日も上ってきた。
そろそろ起きぬか」
その声に、ばっと跳ね起きる。
信長様が少し離れた場所から、楽しげに笑いながらこちらを見ていた。
そしてまざまざと蘇る昨夜の記憶――秀吉さんも巻き込んで飲みに飲み、笑ったり泣いたり散々迷惑をかけて、そのまま此処で寝てしまったんだ…!