【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第5章 allure
「…恋、や愛、が伴わなくとも、身体を重ねる事は出来る。
俺と貴様が、男と女である限りは」
「気持ちが伴わなければ、何をしても悲しいだけではないですかっ…?
確かに、私が此処に訪れた事は、無神経だったかも知れません」
家康の言葉を思い出す…無自覚だ、と。
その通り。
疑いもせず、甘い見通しで、何も考えずに動いていた――
けれど、信長様が心配で、何とか力になりたくて。
それだけは認めてほしい、と必死になって言葉を紡ぐ。
「でも、身体の交わりが無くても、一緒にいる事は出来ます。
悲しい時は話し合ったり、困った時は助け合ったり…私は、信長様と、皆と、そういう事の出来る友達になりたいんです」
信長様が、心底驚いた様な顔でぱちり、と瞬きをすると、声を上げて笑い始めた。
その笑い声に、先程までのような翳りはない。
私はと言えば、自分で言った言葉に自分で驚いていた。
必死だったとは言え、一国の主に、友達になれって…!
「俺と貴様が、友か」
「あ、えっと、そうなればいいな、なんてっ…」
「貴様の居た世では、男と女の間の関係も友と言うのか」
「そう、ですね…」
信長様は、私の両手首を掴んでいた手をすっと離した。
そしてそのまま、横にごろり、と寝転がる。
目を合わせると、私も姿勢を直しにくくて。
失礼かな、と思いつつもそのままの体制で、話し続ける。