【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第5章 allure
「…お市の事を、か。慰めのつもりか」
「いつもお世話になりっぱなしだから…
お話を聞くだけでも、何か私に出来れば、と思ったんです」
いつもより、心持ち小さな声で話す信長様の言葉をちゃんと聞こうと、立ち上がり身を前に進める。
すると、窓際で腰掛に身を預けていた信長様も、すっと立ち上がると、こちらに近寄ってきた。
緋色の双眼が、こちらをじっと見ている。
気付けばいつもより近い距離に戸惑うけれど、まるで見えない糸で絡め取られたかのように、動けない。
すると、どん、と身体に衝撃が走った。
思いもよらない事に目を閉じると、身体がぐらり、と揺らぐ。
突然の事で受け身も取れず、信長様の手が庇ってはくれたものの、頭を打ちぐらぐらと眩暈がする――
やっとの思いで瞼を持ち上げると、霞む視界の先、すぐ近くに、あの紅い目があった。