【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第5章 allure
「えっと、つまり…
信長様は、妹さんが嫁いだ、義理の弟さんの国を亡ぼしたってこと…?」
「そうだな。
でも、理由なく攻め入ったんじゃない。
浅井が敵国と手を組み、織田軍を裏切ったんだ。
勿論妹君には戦の前にも途中にも、戻ってこいと文を送ったそうだが…一度嫁いだからには自分はもう浅井の人間だ、と言い切ったと聞いている」
返す言葉が見つからず、口篭る。
信長様は魔王だなんて言われているけれど、実は情が深くて、気を許した者にはとても優しい。
…きっと妹さんの事も、大事にしていたに違いないのに。
「秀吉は古くから安土に仕えているし、家康は幼い時に此処で暮らした事もあると聞いている。
皆、お市殿…妹君とも顔見知りだろうから、此度の戦は色々堪えたのだろうな」
ぎゅ、と、胸が締め付けられるような思いに襲われる。
どれ程辛い事だろう、私には想像も及ばない程に違いない。
今も昔も、きっと肉親に対する思いに変わりはないのだから。
そういえば、と先程の信長様の表情を思い返す。何処か物思いに耽るような、憂いを帯びた顔。
信長様には何度も助けて頂いた、今もこうしてお世話になりっぱなし。
なら、私に出来ることは何か無いのだろうか――