【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第5章 allure
「千花、有難うな。
生き返る様な心地だ」
「本当ですね、重たいのにご用意下さって有難うございます、千花様」
「そんな、私が出来ることは限られているんだから…
これくらい、おやすい御用です!」
少し秀吉さんの表情が和らいだな、と感じていたその時、後ろからドタドタと廊下を走る音。
「戻ったか、秀吉、三成!」
「政宗、お前…
鬼が今は居ないとは言え、無作法だぞ」
鬼、と言うと礼儀や所作に厳しい家康の事だろうな、と気付きくすくすと笑う。
政宗は決まりの悪そうな顔で、少し歩みを遅くした。
「信長様からの言付けだ。
もう夕刻になるから、報告は飯時で良いと仰っている」
「それは良かった、俺は腹が減っていたんだ!」
「私も、信長様の前で腹の虫を鳴らさずに済み、安心致しました」
皆で並んで、広間までの廊下を歩く。
留守の間の事を聞かれ、他愛のない話で盛り上がる、楽しい一時…
だけど、足りない。
早く、家康に会いたいな、と。
私の思いは、更に募っていくばかりだ――