【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第5章 allure
「お帰りなさいませ!」
戦から戻る秀吉さんと三成くんを迎える為、私は城門まで出てきていた。
吹く風に、冬が近づいている事を感じる。
思わず身をすくめるけれど、長旅をしてきた皆はもっと寒いのだ、と気を引き締めた視線の先…見慣れた顔が揃っていて、ほっとため息をついた。
「只今戻りました、千花様!」
「只今、千花」
いつも通りふわふわと笑いながら、秀吉さんの馬を引く三成くん。
馬上の秀吉さんは、笑いながら只今、と言ってくれた物の…その表情にはいつもより、陰が刺しているように見える。
今回の戦は、以前沈めた浅井軍の残党が決起して起こした物。
敵勢も小さく、さほど時間がかからないだろうと言われていた。
事実、出陣から一週間程で二人とも無事に戻ってきているし、織田軍には怪我人や死人が殆ど出ていないと聞いている。
家康も一緒に戦に出ていたけれど、戦後処理で一日遅れで戻ってくると聞いていた。
明日午前中には着くと聞いている、ちゃんと出迎えなきゃ――
そんな事を思いながら、帰りを待っていたのに。
何かあったのだろうか、聞いても大丈夫なのだろうか。
戸惑いながら、式台に腰掛けた秀吉さんの足元に湯桶を差し出す。
草鞋を脱いだ秀吉さんが熱めの湯に足をつけ、ほう、と一息ついているのをみて安心しながら、馬屋から戻ってきた三成くんにも湯桶を差し出した。