【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第4章 roasting
「おや、どうされましたお二人」
茶室に入ると開口一番、奥山様の下卑た笑顔。
この人全く懲りてないな、と苦笑しながら、秀吉さんの隣に控える。
家康も全く無視するような素振りで、末席に着いた。
「お待たせし、申し訳ございません」
「いえ、本日はこの様な素晴らしい席にお招き頂き、深く感謝致します」
政宗と定形通りの会話を交わす。
生けられた花や、席の設え。
練習通りに淀みなく進み、何の問題もない。
主菓子も滞りなく配り終えたし、秀吉さんのお茶も点て終わった。
「粗茶ですが」
「お点前、頂戴致します」
政宗から順に全員がお茶を飲み終え、内心ほっとする。
末客の家康が椀を返してくれて、これで終わりだ――と安堵の息をつきかけたその時、奥山様がまた大きな声を上げた。
「本日は濃茶だけですかな?
豊臣殿の一服、見事でござった。
是非薄茶も頂戴したいものですな」
「それはそれは、奥山殿にそのように言って頂けるなど、思いも寄りませんでした。
是非、一服点てさせて頂きとう御座います。
千花、後炭の間に、皆様に干菓子を」
「は、はいっ…!」
打ち合わせに無かった事に面食らう。
確かさっき出したのが濃茶で、正式な茶席では薄茶も出すと教わっている。
今回は略式だから、と聞いていたのに――
しかし、確か水屋に干菓子があったはずだ、と思い当たり。
天幕を潜り、水屋に入ると、久しぶりの顔があった。