【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第3章 aromatic
「ほら、出来た。茶巾絞りだ」
「わぁっ、可愛い…!」
まるで黄色いお花のような見た目に、テンションが上がる。
用意していた木の実を中心に飾って、完成だ。
私も見様見真似で絞ってみると、少し不格好な花がもう一輪、その隣に咲いた。
「うーん、政宗の方が圧倒的に上手だよね…」
「千花、こういうのは見た目じゃない。
きっと、家康も喜ぶぜ」
「そう、かな」
喜んでくれるかな、そう考えるだけで綻んでいく頬を引き締めようと、口をきゅ、と結ぶ…
…ん?
「私、家康にあげるなんて言ったっけ…!?」
「ん?違うのか?」
にやにやと笑いながら、こちらを見る政宗を軽く睨んで。
その口元に、自分が作った方の茶巾絞りを押し付けた。
「ん、む、」
「教えてくれたお礼です、先生」
もぐもぐと口に含んでいく政宗が何だか可愛くて、思わず笑うと。
政宗も笑って、味の方は大丈夫だ、と言ってくれた。
「ほんと?ありがとう!頑張ってみるね!」
「じゃあ、俺は夕餉の準備にかかるからな。
何か困ったら声かけろよ」
よし、と気合いを入れて、頭に被っていた手拭いを締め直す。
まだペーストは沢山あるから、一番綺麗に出来たのを家康にあげよう!
――なんて、呑気に考えている私は…
厨の入口から覗いていた家康に、全く気付いていなかった。