【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第2章 burn
「いっ!?いひゃぁあいっ!!」
「はぁ、本当に救いようのない馬鹿だね…
さっき俺の言ったこと、ちゃんとわかってんの、ねぇ、千花」
長くすらりとした指が二本、私の頬を抓りあげた。
すぐに解放されたけれど、痛くてじんわりと涙が滲む、そのままに家康を睨みあげる。
「いきなり、な、何してくれてんのよっ!」
「俺があんたに聞きたいよ。
考えなしに突っ込んできてさ、ちゃんと覚悟して来るように言ってあったでしょ」
「覚悟なら元々あるっ、だって私は、ずっと家康の事がっ…」
まだひりひりと痛む頬、その勢いに任せて言いかけた言葉は、また伸ばされた家康の手で阻まれた。
「す、むっ…むぅ?」
「今は聞いてあげない。
…千花に衆目の前でまぐわう趣味があるなら、話は別だけど」
色々聞き慣れない単語が出てきて、口を押さえられたまま首を傾げる。
すると、家康がしまった、といった表情を浮かべた。
「…知らないからって、まぐわうって何ですか、なんて秀吉さんや政宗さんに聞くなよ!
勿論光秀さんも信長様も、ましてや三成なんかには絶対駄目だからね!」
凄い剣幕の家康にこくこくと頷くも、まだ口は塞がれたままだ。
すると家康は不意に、ふっと優しい笑みを浮かべた。
魅入られたように、惹き込まれる様に、見つめ合う。
そしてさぁっと風が吹き、野の花がさわさわと揺れる微かな音と――